research study
自治体における市民参加型交通安全対策支援システムの研究
背景と目的
平成12年度までに、海外事例をふまえた自治体向けの交通安全支援システムを提案し、鎌ヶ谷市をモデル地区として同システムの構築・運用した。同システムにより収集・管理された事故データ及び市民からのヒヤリアンケート等の実データに基づき事故多発箇所における要因分析を試行して同システムの運用効果を評価するとともに、システムの運用に関するノウハウの蓄積を行い、日本の自治体に適応させるべく研究を進めてきた。平成13年度においては、上記の研究成果を基に、このシステムを活用した社会実験を実施し、住民への情報公開、市民を巻き込んだ安全対策の検討、安全対策の実施工等を行い、交通安全対策への住民参加等の可能性、住民の安全に対する意識変化等の検証を行った。
平成14年度は、これら過年度の研究結果をベースとし、安全対策による事後評価、事後評価結果に基づく安全対策の事前評価のためのデータベース整備、交通安全対策への市民参加モデルの本格導入のための検討を行い、自治体における交通安全対策システムの大枠構築の目途を付けることとした。
期待される成果
本年度の研究内容は、以下のとおりである。
①交通安全対策効果の定量的な事後評価
モデル地区において具体に実施した交通安全対策の効果を事故発生件数、事故パターンの変化、ヒヤリ体験データ件数・体験内容の変化等により定量的に把握する。
②対策効果の評価指標の検討
自治体における交通安全対策について、経済損失額による費用対効果検討やアウトカム指標の検討を踏まえ、対策効果をどのような指標を基に把握すべきかの研究を行う。また、交通安全対策の事前評価の為のデータベース整備の一環としても位置付ける。
③面的な交通安全対策の実施
一般的に我が国における安全対策は交差点や、交差点間の短い単路部を対象に実施されるケースがほとんどである。しかし、地方自治体では「住宅地」や「学校」などを中心とするコミュニティー単位で市民参加型の交通安全対策を検討することがよ
り有効であると期待される。そこで、半径 500 メートル程度の区域を対象とし、対象地区の住民との対話を基に面的な交通安全対策(速度規制等)を検討・実施し、自治体における交通安全対策立案に向け有効な市民参加の方法を検討する。
④自治体における交通安全システムの完成
上記の検討結果を踏まえ、これまでに構築した「交通安全対策システム」をさらに発展させ、「交通安全施策作成ツール」として他自治体への適応可能な汎用性や柔軟性を有するシステムを実現する。