research study
プレホスピタル・サポートシステムの開発
背景と目的
救命救急活動は、広域救急活動を行っている東京都と自治体レベルで行っている鎌ヶ谷市において、その規模や仕組み、内容に大きな違いがある(前年度H860より)。そのうち広域の救急医療では、消防署、救急現場、病院のつながりが重要で、いわゆる「命のトライアングル」のそれぞれ機能しなければ、病院前の特に重篤な傷病者においては救命することは困難であると推測される。今後各地で展開される広域の救命救急活動において、現在施行されている東京での現況を知ることは非常に重要であると考えられる。さらには、救命救急活動の中で最も緊急度及び重症度が高い三次救命救急センターへの搬送がプレホスピタルとしてサポートされなければならない。
本研究においては、①一般車輌とは異なる走行特性を有する救急自動車の走行速度の時空間分布データベースを構築し、最適な経路の選択を支援するシステム開発を目指し、②重症患者を受け入れる側の三次救命救急センターに置ける現状機能の状況把握を当面の目的とする。
期待される成果
① 2つの形態の異なる救急活動現況の比較
鎌ヶ谷市における救命救急活動と同等規模の活動範囲になると予想される東京都練馬区の救命救急活動記録とプローブ救急自動車による走行実態から、要請時刻・位置、現場への到達軌跡、現場滞在時間と救急処置、現場から病院への搬送軌跡等を比較し、プレホスピタルの広域における救命救急活動の課題を明らかにする。
② 重症患者に対応する際の現場救命救急士へのヒアリング
現場の救命救急士が、呼吸状態、循環状態、意識の異常が強く認められたために、傷病者を三次救命救急センターへの搬送を必要とした場合の現場滞在時間、病院搬送に関する問題点と時間短縮のための工夫を聴取する。
③ 重症患者搬送時の走行状況の予測
救急活動記録とプローブ救急自動車の走行記録より、重症患者搬送時の現場から病院までの搬送経路と、救急車両の走行状況を把握する。道路や交通状況における課題を明らかにする。
④ 重症患者搬送における搬送時間と患者予後の検討
緊急度や重症度の高い疾患群(心肺停止状態、脳血管障害、急性心筋梗塞、肺梗塞)における搬送時間からみた患者予後を分類する