研究調査

research study

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プレホスピタル救急車患者搬送の諸問題とその解決法

プロジェクトリーダー:守谷 俊
年度:2008年, プロジェクトナンバー:H072

背景と目的

救命救急活動は、消防署、救急現場、病院のつながりが重要で、いわゆる「命のトライアングル」のそれぞれが機能しなければ、病院前の特に重篤な傷病者においては救命することは困難であると推測される。しかしながらその問題の範疇は、トライアングル以外にも及び患者の特徴や社会構造の変化によって大きく広がりその多様性からすべてを解決していくことが困難であることを内部報告会で報告した(H965)。しかしながら、同じ日本国内においても福岡市程度の都市規模では円滑に活動が行われていることから、この問題は東京や大阪といった最大規模の人口密集地にのみ発生している現象として理解できる。
継続最終年として、客観的なデータが収集可能な救急患者搬送の実態をもとに、救急患者搬送がスムーズに遂行されるための環境あるいは要件に着目し、プレホスピタルにおける効率的な方策を検証したい。一方、現時点で社会問題化している救急患者たらいまわしについては、まだまだ問題が昨年ごろから認識され、今後さらに大きくなることが予想されるので、問題点の明確化、できれば解決の提案を行いたい。
本研究においては、①収集可能な救急患者搬送の客観的データをもとに、プレホスピタルにおける救急患者搬送の効率化方策の検証を行う。②現状で発生している傷病者たらい回しの状況について、円滑に活動が行われている都市と、そうではない都市との違いを把握し、解決への方向性を検討する。これら①②の研究成果から今後広域運用に向かう救命救急活動の仕組みの中で、有効なプレホスピタルを行うための方策を提案することを目的とする。

期待される成果

①収集可能な救急患者搬送の客観的データをもとに、プレホスピタルにおける救急患者搬送の効率化方策の効果を、以下の項目に関して検証する。 
・事務処理を効率化した「流しの救急車」等の導入による、現場到着までの活動の効率化
・救急医療システムの更新(救急病院の新設、医療圏の変更))による搬送活動の効率化
・Fast(緊急車両優先信号システム)等による、救急車の走行時間の短縮可能性
・最短距離ではない、しかも(一般車の避譲効果を含む)救急車専用の最小所要時間経路情報の提供による現着、搬送時間の短縮効果
②現状の救急医療体制の問題点の抽出・分析とその解決法の検討
・円滑な救急医療が行われていると思われる都市の実態把握
・大都市圏における破綻的実態の把握
・両ケースの対比による問題点の把握と、解決策の検討

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