research study
プレホスピタル・サポートシステムの開発
背景と目的
プレホスピタルケア(病院前救護)においては、最近の救急自動車の出場件数の急増により、救急隊の活動範囲が拡大している。さらに、現場や搬送先の病院への適切な経路を選択するために必要な経験・情報が圧倒的に不足しているため、搬送時間が年々増大傾向にある。救命率向上のためには、現場で救急救命士が適切な病院を選択し、救急病院における医師が出来るだけ早く治療を開始することが重要であることから、プレホスピタルケア(病院前救護)を包括した搬送時間短縮のためのサポートシステムが必要であると考えられる。
本研究においては、一般車両とは異なる走行特性を有する救急自動車の走行速度の時空間分布データベースを構築し、最適な経路の選択を支援するシステムを開発することを当面の目的とする。さらに、傷害部位や時間帯に応じて、より適切な医療機関が選択されることを支援する仕組みの構築も目指す。
期待される成果
① 救急隊員および救急医療機関に対するヒアリング
現状の病院前医療における課題等、特に現場到着、搬送経路、移動阻害情報の活用状況および医療機関の選択状況について、救急医療従事者から聴取する。
② 救急活動現況の把握
救急活動記録を分析して、要請時刻・位置、現場への到達軌跡、現場滞在時間と救急処置、現場から病院への搬送軌跡等を把握し、現状の課題を明確化する。
③ 救急自動車の走行状況の連続的把握
GPSレコーダーを救急自動車に設置し、車両の走行状況を連続的に把握する。併せて救急活動記録とのマッチングを行い救急活動、非活動時の走行経路と旅行速度を把握し、道路・交通状況の課題を明確化する。
④ プローブ救急自動車による病院前救護専用最適経路選択支援システムの概念設計
⑤ 先行研究と既存GISツールを活用した面的分析
H636、H742のプロジェクトで、交通事故発生後の安全対策をテーマに、鎌ヶ谷市における救急活動状況についてGISを活用した分析を実施している。本研究においては、それらの基礎研究結果と分析システムが活用可能である。