研究調査

research study

Share
facebookxhatenapocket

高齢ドライバーのリスクテイキング行動の研究

プロジェクトリーダー:蓮花 一己
年度:2000年, プロジェクトナンバー:H271

背景と目的

本研究では、高齢ドライバーを実際の教習所内コースで実走行させることで、個人の運転パフォーマンスを評価する。それにより、リスク暴露度や受傷率という上記の範囲外変数の影響を避けることができ、高齢者の低い運転パフォーマンスが他の行動指標とどのように関連しているかを直接に示すことが可能となる。具体的には、高齢ドライバーのリスクテイキング行動に関わる諸側面を測定し、いかなる要因が彼らの行動を規定しているかを明らかにする。高齢者にリスクテイキング傾向が高いのかどうか、さらに特徴的なリスクテイキング行動があるのかどうか、またその揚合、高齢者の1)ハザードやリスクの知覚能力、2)自己の運転能力の評価、3)実際の運転パフォーマンス等の諸側面がどのように関連しているかを多面的に調査や観察という実証的手法で検討する。
ハザード知覚能力は、実際の交通状況をビデオで撮影した映像に対する回答により測定した。被験者は映像を見た後に回答用紙に場面別にハザードを特定した。さらに、自分の運転能力の評価や自信度は、まず、自分が同じ年齢の他のドライバーと比べてうまいかどうかについて評定させることで調べた。異なる運転状況への自信度についても、Marot七〇li&Richardson(1998)や過去の研究に基づいて質問を行った。
研究目的の第二は、前期高齢者と中期高齢者と後期高齢者の差異にっいて比較検討することである。テストバッテリーの確立を優先させたために、被験者のサンプル属性については高齢者に限定せざるを得なかった。年齢比較を行うためには、本来より年齢層の低いドライバー集団との比較が望ましい。この点では本年度の分析は中間報告の段階である。次年度以降の研究でさらに年齢層を広げた研究を実施する予定である。
研究目的の第三は、高齢者の個人差のあらわれ方を実証的に把握し、特徴的な運転行動と意識から見た類型化を行うことである。この点についても、サンプル数の少なさと行動メカニズムの検討が進んでいないために、本報告書では議論することがほとんどできなかった。次年度以降の中心的な研究課題であると考えている。

成果物

同テーマの研究調査

一覧へ戻る