research study
中山間エリアの高校における交通課題解決のための教育活動
背景と目的
大阪府立豊中高等学校・能勢分校は、中?間エリアに位置する学校であるが、文部科学省のスーパーグローバルハイスクール(SGH)に指定されるなど、グローバルな視点から様々な教育活動に取り組んでおり、地域での進学希望者も多い。しかし、同校の課題として、「通学課題」が挙げられ、近年では進学希望者が通学を理由に入学を断念するなど、入学者の減少・定員割れが続いている。現在、徒歩や路線バス、自動車での送迎といった通学手段があるが、それ以外は自動車通学が最終的な手段となっている。ただし、自動車通学においては、安全面で中山間エリア特有の多くの課題を抱えている。そこで、2021 年度と2022 年度に行政・団体連携プロジェクトを実施し、高校生に電動アシスト付き自転車(e-bike)という新たな交通手段を提供することで、交通のあり方の学習支援により課題解決力の向上を目指すとともに、地域課題全体の解決への展開を図ってきた。具体的には、生徒たちの運転行動を画像データとして記録し、どのようなリスク行動をとっているか等について分析を行い、その分析結果を踏まえた交通安全教育を実施した。また、高校生たち自身で通学路の道路環境について考えてもらい、いかなる環境整備が必要であるかを議論してもらった。
そうした2 年間の調査研究成果にもとづき、このプロジェクトでは、2023 年度に高校生たちが交通安全教育プログラムを開発し、それを中学生に対して実施した。加えて、これまでの成果を踏まえつつ、地域住民や行政関係者たちとの意見交換ワークショップを経て、多様な視点から交通安全について検討した。
2024 年度は、これまでの活動の集大成として、交通安全に対する高校生たちの意識を高め、主体的に交通安全活動に取り組むことを促すという、本プロジェクトによる取り組みをモデルとして開発し、そのモデルを積極的に発信していくことを?指している。
最終的に、本プロジェクトでまとめる提言にもとづき、今後、能勢地区における交通安全施策の改善が行われることを期待している。
期待される成果
これまで実施した調査研究の成果にもとづき、高校生たち自身が開発した交通安全教育プログラムを精緻化させる。こうした取り組みを通して、交通安全大切さを他者に伝えると共に、交通課題を解決するための方策を高校生たちが「自分ごと」として理解し、行動することが期待できる。したがって、本プロジェクトで最も重要な成果は、高校生たちが交通安全意識を高め、安全な運転行動をとれるようになることである。また、高校生たちから能勢町役場に対して「交通安全に関する提言」を提出する。このように、高校生たちから町役場や地域住民に対して交通安全に関する提言を行うことによって、地域住民の交通安全に対する意識が向上したり、行政がより安全な道路整備を行ったりといった、実際性に関する成果も期待できる。さらには、こうした若者による地域に根差した活動を通して、他地域(とりわけ能勢と同様に過疎化が進んでいる中山間エリア)でも応用可能なモデルの開発といった、先見性に関する成果も期待できる。
なお、1 年目の活動の成果にもとづき、2024 年度では交通安全教育プログラムをさらに改善すると共に、1 年目に着手する応用可能なモデルを開発することを予定している。そして、それらの成果とこれまでの調査研究の成果を、高校生たちも参加する形で書籍としてまとめ、刊行することを計画している。