研究調査

research study

Share
facebookxhatenapocket

≪社会貢献≫ASEAN地域での速度認知に着目した二輪運転者の危険予測教育プログラムの開発

プロジェクトリーダー:土井 健司
年度:2021年, プロジェクトナンバー:2122

背景と目的

3ヵ年の 2041 プロジェクトにおいて、まず ASEAN 地域の交通死亡事故の 過半数を占める自動二輪関連事故の原因に関する系統的な把握を試み た。2~3 年目においては、同地域において安全運転普及に取り組む Honda Vietnam(ベトナム)、 A。P。 Honda(タイ)との連携の下、二輪 メーカーが主導し行政・地域・家庭を包摂する「交通安全文化共創モデル」 の必要性と社会的意義を明らかにした。この共創モデルは、ASEAN 地域の 交通安全対策の課題である(3Eの)エンフォースメントの不足を補う役 割をも果たしているが、速度超過の抑制についてはメーカー主導の教育・ト レーニング内容では十分に対応できていないことが浮き彫りにされた。 そこで、社会貢献フェーズにおいては、2041C(3 年目)において実施し た現地の二輪運転者の運転意識と危険予測・回避の関係分析および交 差点周辺の走行挙動のドローン空撮に基づき、速度認知の改善を促す二 輪運転者の危険予測教育プログラムの開発と現地への提供を行うことを目 的とする。

期待される成果

ASEAN 地域の運転者の速度認知の不足は、重大事故の根本原因の一 つと推察されるものの、その定量的な検証と対策方法の立案はなされてい ない。また、提案者の過年度の調査においては、ベトナムやタイで実施され ている安全運転トレーニングにおいては、わが国で開発された危険予測プロ グラムが活用されているにもかかわらず、プログラムによる速度超過への危険 意識の改善効果は確認できなかった。この理由として、現地の運転者は接 近する物体の速度の認知が乏しい、すなわち時間軸に沿った車両対車両 (または人)の相対関係の変化に関する認知が不足しており、折角の危 険予測教育の効果を発揮し難い現状にあることが指摘される。 速度認知や相対的な関係性の認知は発達段階での経験や教育に依存 し、地域の文化的な差異が速度・関係性認知に影響を及ぼすと考えられる ことから、検証や対策立案のためには学際的なアプローチが不可欠である。 そこで、本プロジェクトでは学際的な組織体制の下、ASEAN 地域での二輪 運転者の速度認知および関係性認知を把握、可視化するとともに、ドロー ン空撮と AI によるモーション・パターン学習に基づく準動的なリスクダイアグラ ムの作成を行う。そのうえで、現地の関係者と一緒に実情に即した危険予 測教育プログラムの開発を試みる。こうした現地との共創を重視した取り組 みにより、自動二輪に関わる重大事故リスクの低減に資すると期待される。

成果物

同テーマの研究調査

一覧へ戻る