通学路総合交通安全マネジメントとは?
通学路の安全性を高め、交通事故をなくすためには、学校関係者や保護者をはじめ、警察、行政(市区町村、都道府県、国)の担当者が連携し、最新の交通安全対策と交通規制を組み合わせながら、地域一体となって総合的な対策を検討する「通学路総合交通安全マネジメント」の考え方が有効です。
STEP1
地域のみんなのちからを合わせて取り組む通学路の交通安全対策は、学校や保護者が通学路の現状と問題点を認識し、解決策を考え、行政や警察などに働きかけるのがいちばんの近道です。平成25年度に国が「通学路交通安全プログラム」を策定し、地方公共団体に対して具体的な対策を進めるよう通達がなされ、すでに9割を超える自治体がこのプログラムを策定しています。こうした動向を関係者がしっかりと把握し、地域の連携を働きかけていくことが重要です。
STEP2
現地調査を通じて問題を共有することで、解決策が見えてくる
通通学路総合交通安全マネジメントを進めるには、関係者が参加するワークショップを実施するのが有効です。まずはみんなで現地調査を行い、通学路の実態を子供の目線で入念に調べて現状の課題を把握します。関係者全員で危険箇所等を洗い出し、話し合い、問題を共有することで、対策の検討・立案の合意形成がスムーズに進められます。
通学路の状況は、時間帯や天気、季節によってもさまざま。危険な場所を普段からしっかりチェックしておきましょう。
歩道があっても、歩道上に放置自転車があったり、自転車が走っていたりすると危険な場合も
狭い道路でも直線で走りやすいと、車がスピードを出して通過することも
信号のない交差点では、朝と夕の交通量が多い時間帯には危険が増すことも
STEP3
ワークショップ※で行政・警察等も交え、効果的な対策を
学校や保護者、さらに行政の担当者や警察も交えたワークショップを行い、問題意識を共有しながら意見交換をすることで、関係者全員の理解が深まります。また、交通の専門家に参加してもらうことで、具体的なノウハウが得られ、より効果的で幅広い対策が提案できます。ワークショップでは、地域の問題に応じて、交通規制の実施や取締りの強化などの「ソフト対策」と道路の改良や設備の強化などの「ハード対策」を組み合わせ、効果的な交通安全対策を検討します。ワークショップの具体的な進め方については、「通学路総合交通安全マネジメントガイドライン(p14参照)」に記載されているので参考にしてください。
※ワークショップは、まちづくりなどにおいて参加者が主体的に意見を述べ、共同作業を行うなどして課題解決や合意形成を図っていく参加型の場のこと。
STEP4
対策実施後、効果検証・評価を行い、定期的にチェック実際に対策を実施したら、効果もしっかり検証し、予想していた効果があらわれていなければ、再度みんなで検討を重ね、改善策を考えましょう。現場の状況は日々変化することもあるので、当初の効果が次第に薄れてくることもあります。定期的に現場をチェックし、新たな課題を発見したら、すぐに対策を講じることも大切です。
[方法]
- ○ワークショップメンバーによる現地検証
- ○地域住民の対策効果の実感に関する意見交換
- ○行政や専門家などによる対策効果の調査・分析
- ○ワークショップで意見調査と新たな課題の共有
- ○対策の変更や新たな対策の検討
[方法]
- ○ワークショップメンバーによる現地検証
- ○地域住民の対策効果の実感に関する意見交換
- ○行政や専門家などによる対策効果の調査・分析
- ○ワークショップで意見調査と新たな課題の共有
- ○対策の変更や新たな対策の検討
STEP5
問題意識を次世代の保護者に引き継ぎ、取り組みを継続
子供が卒業すると、保護者の関心が薄れてしまいます。世代が変わり、関係者が入れ替わることは、問題意識が薄れてしまうリスクもあるので、学校等と連携しながら、交通安全の取り組みを継続させ、新たに入学してくる子供の保護者に対しても、しっかり引き継いでいく体制を整えることが重要です。
STEP6
通学路での実績を活かし、他の道路にも活動の輪を拡大通学路での取り組みが定着したら、そのノウハウを活かし、地域の他の道路の交通安全にも目を向けましょう。通学路での取り組みを地域全体へ拡げていけば、安全で快適な地域の暮らしづくりへとつながります。交通事故のない安全な社会の実現に向けて、取り組みの輪を広げていきましょう。
このように学校関係者や保護者、警察、行政(市区町村、都道府県、国)の担当者、地域の方々が連携・協力しながら、効率的かつ効果的に通学路の安全対策を実施し、その活動を継続・拡大していく一連の取り組みが、「通学路総合交通安全マネジメント」です。
通学路で安全対策を進めていくには
通学路の安全対策は、それぞれの地域で問題点や対応方策が異なります。まずは学校や行政と相談し、「通学路総合交通安全マネジメント」の取り組みを提案してみましょう。
具体的な進め方については、公益財団法人国際交通安全学会ホームページにある「通学路総合交通安全マネジメントガイドライン」や一般社団法人交通工学研究会発行の「生活道路のゾーン対策マニュアル」などの資料が参考になります。
下記サイトでは、ワークショップの運営マニュアルを掲載し、事例をもとに具体的な方法について紹介しています。
[通学路Vision Zeroとは]
交通事故で亡くなる人をゼロにするビジョン、いわゆるVision Zeroが1997年にスウェーデンで始まりました。通学路Vision Zeroは、「まず、通学路での交通事故死者をゼロにする」ことを目指すビジョンです。それをきっかけとして、市街地の歩行者や自転車の交通安全性を飛躍的に高めることを意図しています。
[通学路Vision Zeroとは]
交通事故で亡くなる人をゼロにするビジョン、いわゆるVision Zeroが1997年にスウェーデンで始まりました。通学路Vision Zeroは、「まず、通学路での交通事故死者をゼロにする」ことを目指すビジョンです。それをきっかけとして、市街地の歩行者や自転車の交通安全性を飛躍的に高めることを意図しています。