研究調査

research study

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飲酒運転対策についての研究

プロジェクトリーダー:今井 猛嘉
年度:2007年, プロジェクトナンバー:H969

背景と目的

飲酒運転(酒気帯び運転、酒酔い運転)は、適切な運転を不可能にする極めて危険な行為であり、現在も道交法により処罰の対象とされ、また資格制限等種々の制裁の対象とされているが、悪質で重大な結果を惹起する飲酒運転の多発という現状を踏まえ、道交法における法定刑の引き上げや刑法における犯罪の新設(自動車運転過失致死傷罪・法制審諮問第82号)が検討されている。
 これら犯罪の整備は必要な作業である。しかし、これらの手続を経ても、飲酒運転を許容している社会的状況、それに呼応する運転者の心理状況の改善、飲酒下の運転操作に対する自動車工学的対応、飲酒運転者の悪弊除去のためのプログラムの整備等がなされなければ、安全な道路交通を確保することはできない。
そこで、本研究では、飲酒運転を巡る上記の問題状況と、望ましい対応策について、種々の学際的観点から総合的な検討を加えるものとする。

期待される成果

(1)現状確認: 
先ず、飲酒運転を規制し、その規制に対して制裁を加えるところの現行法の制度を確認する。その際には、都市工学、経済学等の知見をも踏まえ、飲酒下における運転の誘因という観点から適切な道路設計ないし制度設計がなされているかを確認する。
(2)飲酒運転を許容する社会心理学的状況:
日本は、欧米諸国と比べて、飲酒運転に寛大な社会であり、そのような望ましくない風習の除去こそが、飲酒運転を根絶する原点である、と主張されることが多い。
そこで、こうした指摘の当否を検討する。
その際には、社会学、心理学の知見を活用する(データ収集と分析のために、飲酒文化につき、一般人に対するサーベイを実施するが、その際には、世論調査会社が定期的に行っているオムニバス調査に本調査を組み込む等の手法により費用の低減にも努めるものとする)。
(3)飲酒運転を防止する技術的ないし法制度的手法の検討:
北欧、欧米諸国では、飲酒運転を防止するために、アルコール検知の後でなければエンジンが作動しないシステム、飲酒運転者の免許剥奪を厳格に行う制度等が、種々、考案され、実施されている(特に、アメリカ合衆国{ドラッグコートも存在する}の状況が注目される)。そこで、これら諸国の状況につき、工学的、心理学的及び法学的知見を用いて、それら諸制度の実効性を確認し、それが我が国にも受容可能なものかについても検討を加える(具体的には、北欧、北欧の制度と密接な関係を有しているEUの交通政策、ならびに北米、取り分けアメリカ合衆国の状況を確認・分析するために、現地調査を実施する)。
(4)まとめ:
以上の考察を踏まえ、都市及び自動車工学、及び社会諸科学の検知から望ましい飲酒運転対策の制度設計が検討される。その一貫として、飲酒運転者への制裁のあり方、具体的には、道交法ないし刑法で予定されている犯罪の新設ないしその法定刑の引き上げの当否についても検討が加えられる。

成果物

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