research study
視覚障害者誘導用ブロック(点字ブロック)の設置ガイドラインの作成
背景と目的
視覚障害者誘導用ブロック、通称点字ブロックは1965年に日本で考案された。以来、日本国内はもとより世界に設置されている。設置数が増えていることは喜ばしいことであるが、敷設方法や敷設ルールが徹底されないまま世界に広がったために、「危険な設置」「他の障害者のバリアとなっている設置」「無駄な設置」などが世界中に存在するに至っている(日本が間違った設置方法を輸出していると言える)。この状況については平成18年度のプロジェクト研究において精査し、何をどのように改善すればよいのかについての概略を示すことができた。
本研究では、まず平成18年度に着手できなかった課題に取り組む。すなわち、実際の利用者でなければ評価できない事例について当事者(視覚障害者)参加による評価実験を行い、改善策をまとめる。さらに、点字ブロックが他の歩行者(車いす使用者、高齢者、バギー利用者、ハイヒール使用者、幼児等)に与える影響とその改善策について、対象者への調査によって明らかにする。それらの結果と平成18年度の調査結果を合わせて、点字ブロックの設置ガイドラインを作成し、マニュアルにまとめ、日本及び海外の点字ブロック関係機関(政府機関、自治体、福祉団体、施工会社等)に配布する。
期待される成果
本研究では、①昨年度の研究結果を補完する視覚障害者による評価実験、②車いす使用者などへの「点字ブロックのバリア化」に関する調査、③2年分の調査結果のまとめとしての設置ガイドライン作成(翻訳を含む)と配布 を行う。
1。 障害物の前の警告ブロックの設置位置、交差点前の報告を示す誘導ブロックの設置の必要性など、実際の利用者でなければ評価できない点について、視覚障害者参加の評価実験を行う。基本的には筑波大学の構内に点字ブロックを仮設置して実験を行うが、特殊ケースの場合は設置されている場所において実験を実施する。
2。 他の歩行者(車いす使用者、高齢者、バギー利用者、ハイヒール使用者、幼児等)のバリアとなっている点字ブロックについて質問紙調査を行う。
3。 点字ブロックの設置ガイドラインを作り、現実場面での適正な設置例と誤りの例とその改善方法、誤敷設の予防方法などをわかりやすくまとめたマニュアルを作成し、国内外に配布する。