研究調査

research study

Share
facebookxhatenapocket

シルバーによるシルバー交通安全対策(交通教育)の提案

プロジェクトリーダー:鈴木 春男
年度:1996年, プロジェクトナンバー:h833

背景と目的

平成6~7年度の研究成果の一つとして、高齢者が一般の生活面では自立しているのに、交通の領域では常に弱者として扱われており、高齢者もまたそれに甘んじていること、そしてそのことが高齢者の交通事故増に深く関連していることが理解された。そうしたことから、高齢者が交通領域での自立を図り、モノ言わぬ高齢者から「発言し、提案する高齢者」に変化してもらうことが重要な課題になってくるのであるが、そのためにはかれらに「参加」の機会を提供することが重要になってくる、ということも理解された。しかも一般に、高齢者の生活は比較的安定し、時間的ゆとりもあって、社会参加意欲も高い。
また、高齢者の交通行動は地域との密着性が非常に高く、高齢者自身も地域の問題に関心が深いことから、そうした「参加」の場は高齢者の身のまわりの出来事を中心に、地域に密着した運動として展開されることが望ましく、その結果、高齢者に対する具体的な交通安全対策として、「地域危険マップづくり」や「シルバー・ドライバーズ・クラプ」などが提案されたのである。
本年度の研究テーマ「シルバーによるシルバー交通安全対策(交通教育)の提案」は、そうした問題意識からスタートした。
ところで、阻)国際交通安全学会で、1983年のプロジェクト「交通安全教育技法の実践ー教師への提案ー」や、1984年のプロジェクト「市民参加型交通安全キャンペーンモデルの提言」の発足に代表されるように、首尾一貰して参加型交通安全教育の必要性を訴えてきた。そうした提案がやっと実を結び、ここ数年、参加型・体験型交通安全教育が国の重要な柱の一つとなり、第6次五箇年計画でも重点項目の一つとなっていることは大変喜ばしい。
ただ、そこで気がかりなのは、実施の初期段階では致し方のないことなのかも知れないが、参加型といっても上でつくられた計画に乗って体験するだけの、いわば実行段階のみの参加で事足りると考えられている点である。いわばPlan-Do -SeeのDo段階のみの参加で、十分だと考えられている点である。真の参加とは、市民が自ら計画し、参与し、評価も自分たちで行えるような形でなければならない。
「地域危険マップづくり」や「シルバー・ドライバーズ・クラプ」などが提案された背景には、増大し続ける高齢者の交通事故に歯止めをかけるためには、高齢者自らが提案し、計画し、指導するなかで、それが自分自身をも安全に向けて動機づけるような新しいシステムが必要で、それを提案しようという意図があったのである。

成果物

同テーマの研究調査

一覧へ戻る