研究調査

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歩行者の道路横断実態を重視した実用的な最適信号制御の研究

プロジェクトリーダー:片倉 正彦
年度:2005年, プロジェクトナンバー:H748

背景と目的

現行法制度において、横断歩行者の信号制御における青・青点滅表示は、車両に対する青・黄表示に相当する。しかし、青点滅時間が短いために、横断歩行者の信号遵守率や左折車との錯綜の発生等に影響している可能性があるとの指摘がある。この点を重視して、機能的・技術的視点から、歩行者用青点滅表示を車両の全赤表示と等価の位置づけにすべきとの考え方も一部にある。また、欧米では多用されている歩行者の二段階横断(中央分離帯の前後では異なる信号表示で横断する方式)が日
本ではほとんど適用されておらず、車両を含む信号制御全体の自由度を低下させ、端的には信号サイクル長の無用な長大化を招き、排出量の増大が沿道環境にも影響しているとの指摘もある。
これらは、横断歩行者と車両の速度の絶対値や変動特性の較差を信号制御により可能な限り吸収し、両者の安全性と円滑性とをより高次元で均衡させる課題に帰着する。また、これらの課題に対する対応は技術的側面にとどまらず、一般市民の行動特性や慣習への働きかけが前提となることは必至であり、そこに克服すべき困難が存在する。
本研究においては、横断歩行者の信号制御の基本的事項を整理するとともに、その実態を欧米諸国との比較も交えながら把握し、両者の整合性を確認する。それに基づいて歩行者と車両の双方にとってより安全・円滑・快適で沿道環境にも適合する信号制御を提案し、その効果を実験的に検証する。

期待される成果

① 歩行者信号表示の基本的考え方の整理と実態の把握
日本における歩行者青・青表示の法律上・制御技術上の定義・意味に関する情報を収集する。また、
表示時間設定と道路・交通条件等との関係の実態を把握する。また、欧米諸国における実情に関して情
報収集し、日本の状況と比較する。
② 歩行者信号制御と車両信号制御との関係の実態把握
歩行者の横断時間を確保する必要等のために、現状の制御方式において信号サイクル長が過大とな
っている例、あるいは臨界交差点に対して半サイクル制御が適用できない状況等に関して、実態を把握
して整理する。
③ 歩行者信号の新制御方式の提案
上記①および②に基づいて、歩行者信号の表示時間、あるいは二段階横断方式等に関する提案、お
よびそれと連動した車両信号制御の見直しを提案する。
④ 提案方式の実道実験による評価
上記③に対する横断歩行者の主観評価、制御効果に関する客観的・定量的評価を行う。
⑤ 提案方式の計算機シミュレーションによる評価
上記③の提案制御方式により歩行者および車両が被る遅れを、個別の交差点および路線上に隣接
する複数交差点に関して、計算機シミュレーションで評価する。
⑥ 歩行者赤点滅表示のCG による仮想評価
欧米の一部で使用されている「歩行者灯火の赤点滅」を日本に導入したときの影響を事前に検討する
ため、日本の歩行者の赤点滅表示に対する受容性と効果を、CG による仮想状況下で評価する。

成果物

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