research study
東南アジアにおけるオートバイの都市交通手段としての役割と限界に関する研究
背景と目的
過去2年間にわたって、東南アジア地域でのオートバイの役割と限界というタイトルで研究を遂行してきた。2年間の成果の中で、オートバイには、さまざまな可能性があり、単純に、オートバイから4輪自動車への移行というプロセスを過去の日本や台湾のように経験する過程にいるとは断言できず、また、各都市での制度上の課題や、都市交通システム全体と関連した課題がいくつかあることもわかった。その中で、免許制度のないカンボジアは別として、ベトナムでもタイでも、オートバイをより有効活用し、都市交通システムの中での位置づけを明らかにし、危険神話に基づいた限界論を乗り越えていくひとつの鍵が、広い意味での安全教育体制であることが明確になった。これは、過去2年の研究の最終段階で行ったタイでの有識者インタビューで得られた知見のひとつでもある。
そこで、これまでの成果を受け継ぐ形で、本研究では、オートバイを東南アジア大都市の都市交通システムの中で活用していくために必要な、安全を中心とした教育システムのあり方を探ることを目的に研究を進めることを提案する。
期待される成果
対象都市:バンコク、プノンペン、ハノイ
対象課題:下記に関する教育のあり方
・自家用オートバイ運転者への安全教育
・業務交通オートバイ運転者(メッセンジャーバイク)への安全教育
・バイクタクシー運転者への安全教育
・潜在的運転者としての生徒・児童への安全教育
・都市交通システム運用に関する意思決定者への専門的教育(交通工学、計画、環境を含め)
研究の進め方:
1。 上記3都市での上記各項に関する現状把握をする。
2。 わが国他の先進的教育事例のレビューを行う。
3。 前2項をもとに教育シナリオ案を作成する。
3-1。 特に運転技術に関しては、この地域特有の利用実態に対応して、多人数時、積載時の車両挙動実験を行い、その結果を通して、ブレーキングなどの技術習得手法を提案する。
3-2。 専門的教育については、これまでの交通工学的知見、都市交通計画的
知見および環境面でのバイクの優位性と留意点について課題を整理し、ワークショップ形式での開催を想定したシナリオ案を提案する。
4。 現地でのデモンストレーション可能性のパイロット調査を行う。
5。 少なくとも1都市以上で少なくとも1課題について教育のデモンストレーションを行う。できれば、運転者関連を1回と専門家関連を1回、まずは実施してみる。