research study
ドライバーの感情特性と運転行動への影響 ~感情コントロールのための教育プログラム開発を目指して~
背景と目的
本研究の目的は、感情ストレスに対する自己管理能力を高めるための教育法を確立することである。感情ストレス(焦り、イライラ、疲労など)と運転行動との関係性を自己理解するとともに、ストレス対処法を学習する教育プログラムを開発する。H20年度の研究において、職業運転者を対象としたインタビュー調査から、対処法に関する有益な情報が様々に得られている。これらを対処法の学習教材として活用し、運転適性の自己管理能力を促していく。さらに教育効果測定の実験を行い、開発する教育プログラムの有効性を検討する。
期待される成果
次の2点を今年度の研究課題とする。
①教育効果持続性と固定化を図るための検討:教育効果測定にあたっては、複数の教育群を設け、各々20名の参加により実施される。具体的には、教育実施後、意識付けの持続効果を促す方策、例えば、「セルフトーク」(教育参加者がネガティブ感情からの離脱方法として自らが考案する自己への語りかけの言葉)のサンバイザー等への貼付や、朝礼時の「一言確認」の実施など日常業務のなかに簡便な方策を採り入れる教育群、感情コントロール教育と運転技能トレーニングとを組み合わせる教育群などである。教育プログラム実施直後、5ヵ月後、10ヵ月後の3時点で効果測定を行い、各教育群の効果持続性の差異を分析する。
②トレーナーの育成を目指した指導ツールの制作:教育普及のためには、トレーナーが本教育プログラムの実施法を習得するためのマニュアル等の指導ツールが必要となる。運転者教育関係機関2箇所にて本プログラムを試験的に実施し、指導の際にトレーナーがどのような問題に直面するかを調査するとともに、問題解決のための解説を含めた指導ツールを制作する。マニュアル、DVD解説書、スライド呈示教材等、一連の指導ツールをセットとして完成させる。