research study
ドライバーの感情特性と運転行動への影響 ~感情コントロールのための教育プログラム開発を目指して~
背景と目的
本研究の目的は、感情ストレスに対する自己管理能力を高めるための教育法を確立することである。感情ストレス(焦り、イライラ、疲労など)と運転行動との関係性を自己理解するとともに、ストレス対処法を学習する教育プログラムを開発する。H20年度の研究において、職業運転者を対象としたインタビュー調査から、対処法に関する有益な情報が様々に得られている。これらを対処法の学習教材として活用し、運転適性の自己管理能力を促していく。さらに教育効果測定の実験を行い、開発する教育プログラムの有効性を検討する。
期待される成果
教育プログラムの構成は次の通りである。①運転ぶりの評価:受講者の日常の運転ぶりを、心理指標(感情ストレスの経験)、運転行動指標(車間距離、車速、確認行動)、生理指標(心拍)の3つの観点から評価し、コーチング技法を用いて本人にフィードバックする。具体的かつ客観的な評価材料に基づき、感情ストレスが運転にどのように影響しているか自己理解を促す。②対処法の学習:感情ストレスからの離脱方法についてグループ討議を行う。他者のストレス対処の方法(たとえば「朝の出勤前には、家族とデリケートな問題を議論しない」「ガムを噛んですぐに眠気がとれるかどうかで疲労度合いを自覚する」など)を教材として提示し、自分に適した対処法を見出して、各自行動目標を設定する。
教育を実施するグループ(実験群)と実施しないグループ(統制群)を設定し、教育実施前後で運転行動等の各指標を比較する。教育プログラムへの参加を通して指標に変化が生じたかどうかを分析することで教育効果を検証する。配送、運搬業務に従事する職業運転者を対象に教育を実施する。ホンダロジスティック(鈴鹿)、青森モータースクール(青森)とはH20年度の調査で協力関係にあった。H21年度の教育実施に関しても、引き続き調査協力を依頼し、鈴鹿と青森の2カ所で教育を実施する計画である。