research study
大規模災害時におけるマイカー規制のあり方に関する調査研究
背景と目的
阪神・淡路大震災においては、高架橋の倒壊や家屋倒壊による道路閉塞などにより、多大な被害を被った。交通システムの被災による影響は、物理的被害のみにはとどまらない。都市交通システムの機能低下により。震災時に発生した大量の、そして様々な目的の移動需要を十分に満足することはできなかった。結果として、急を要する救急救助活動。消防活動の遅れを招き。被災地域の復旧・復興のための諸活動を阻害し。市民の日常生活に多大な影響を及ぼしたことは否めない。今後起こりうる災害に迅速に対応し。交通システムが円滑に機能するべく対策を講じることが重要といえる。
1995年度、 1996年度の2ヶ年に渡り、プロジェクトリーダー(京都大学:飯田恭敬)を中心に地震災害発生後の交通管理に関して分析を進めている(H723、H832プロジェクト、文献1))。
この調査研究においては、以下の事項について検討を加えている。
・阪神淡路大震災後の交通実態把握。 震災後の交通対策状況の整理
・災害時おける道路交通マネージメント方策の提案 長期的視野での道路網計画に関する検討
・災害時道路マネージメントの体系化に向けての課題整理
さらに、上記調査研究の成果を公表することを目的に、平成10年5月29日に国際交通安全学会シンポジウム「震災時の交通マネージメント」を開催し、多数の参加者により活発な議論を行った。その中で、先行研究に対して、 1)交通規制について、被災者の協力を期待する形での提案を行っているが、発災直後においては、多くの被災者が多かれ少なかれ「緊急の用件」で車を利用しており、それを全面規制することは問題ではないか、 2)災後1~2週間の比較的落ち着いた状況下における交通管理を念頭においているが、発災直後における道略交通管理の方策をどのようにすべきか、の2点が問われた。これらの質問に回答することを目的として、本調森研究においては、 1)発災直後におけるマイカー利用の実態を調査分析すること、2)直後の交通混乱期におけるマイカー利用規制のあり方を検討すること、に焦点を絞って研究を進めることとした。