研究調査

research study

Share
facebookxhatenapocket

阪神・淡路大震災交通調査

プロジェクトリーダー:飯田 恭敬
年度:1995年, プロジェクトナンバー:H723

背景と目的

1 9 9 5年1月17日の早朝に発生した兵庫県南部地震はこれまでにほとんど例の見られない大規模な都市直下型であり、その被害の甚大さは関東大震災を上回るもので、多くの人々に大きな衝撃を与えた。各種交通施設の広範囲にわたる甚大な被害のため、震災後の交通状態は大混乱に陥ったが、なぜ交通管理がもっと効果的に行われなかったのか、誰しもが疑問に思ったことであろう。この度の交通混乱の発生と非常時交通管理の欠如が露呈した背景には、多くの問題点が指摘されている。これらの問題点について以下に整理しておく。
1。 交通施設の被害状況に関する情報収集の体制がつくられていないことである。
2。 突発事象が発生したときの交通現象に不明な点が多いことである。
3。 災害後の交通データ収集が困難なことである。
4。 すべての交通機関を含めた交通管理システムの一元化が進んでいないことである。
5。 突発事象時の交通管理システムは方法論的に複雑で高度であることである。
6。 道路網の階層化や代替性、またモード結節施設を有する交通ネットワークの整備が不十分であることである。
7。 道路システムと結合させた緊急道路、救援物流基地、避難地などの指定および配置の事前計画が十分に検討されていなかったことである。
8。 平常時において災害発生を想定した交通管理の訓練がこれまでなされていなかったことである。
上で述べてきたように、震災時における交通の機能低下を極力防止するには、災害発生の事前から事後にわたって、施設整備のハードと、施設運用のソフトの両面から、時間軸上で体系的に一貫して取り組むことが必要である。本研究プロジェクトは、震災後の交通状況とその対策についての実態を調査するとともに、新しい震災交通マネージメントのシステム構築に向けて考究したものである。ここで特筆しておくべきことは、ソフト面からの道路交通管理システムに対する新しい考え方であり、ITS技術を積極的に取り入れることを念頭においている。ITS技術によって交通データ収集と交通情報提供の質が飛躍的に向上することから、従来は困難と思われていた交通状況に対応した臨機応変の高度交通管理が実現できることになる。

成果物

同テーマの研究調査

一覧へ戻る