研究調査

research study

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アジアにおけるITS導入に関する調査およびガイドライン作成の研究

プロジェクトリーダー:上條 俊介
年度:2016年, プロジェクトナンバー:1603

背景と目的

アジア諸国において自動料金収受、交通管制、交通制御、プローブ収集、情報提供等のITS の導入が進められている。シンガポールのような既に先進的なシステムを導入していて次世代の検討を行っている国、マレーシアやタイのような鋭意導入を進めている国々、ベトナム・フィリピン・インドネシア他のような導入の初期にあるか導入を検討している国々のように様々である。我が国は世界に先駆けてITS の導入に努めてきたが、その後のIT 技術の発展により陳腐化したり、最新のIT 技術を積極的に活用する国際標準から取り残されたりといった現象がみられるようになってきた。アジア諸国は、最新のIT 技術を導入した高コストパフォーマンスなインフラ整備が行われている。そこで、本研究では、欧米や豪州といった先進国を調査して国際標準の動向を把握するとともに、アジアの現状を調査して、最適なITS の導入方法を検討する。世界のメガシティの多くはアジアに集中しているため、我が国とアジア諸国は類似の交通問題を共有しており、我が国とアジア諸国の双方にとって有用なガイドラインを提案できることが期待される。このガイドラインは、我が国のシステムを更新していく際にも有用な提案となることが期待される。

期待される成果

欧米アジア諸国では、パッシブ型ETC が一般的であるが、今後のアジアの経済発展にともない、我が国のアクティブETC の機能が十分に生かせる状況が成立する可能性がある。信号制御や交通管制技術では、各種センサーやアルゴリズムにおいて、我が国がリードしている状況がある。一方、BRT 、ATM(Active TrafficManagement)、ERP(Electronic Road Pricing)等の我が国での導入実績が少ないものについては、海外の事例を研究することで、我が国やアジアへの適用可能性や適用に当たっての改良を検討することができる。いくつかの国では、GPS を活用したERP 技術等の先進技術の導入が期待されており、こうした事例から我が国も学ぶことができる。プローブ技術も、我が国ではVICS システムが導入されてきたが、スマートフォンの誕生により、環境が大きく変わっている。さらには、自動運転の導入に関する法やインフラの整備等や、国プロの研究開発が各国で進められているが、10年後を見据えたガイドラインを作成するには、これらの動向を把握する必要がある。このように、本研究では、具体的な事例研究を重ね、拡張可能な最適なITS システムの導入方法を検討し、ガイドラインのマニュアルを作成する。本研究の調査対象は、国々やテーマが広範囲にわたり、現在進行形で進化する技術が対象であるため、複数年の調査を要すると考える。

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