研究調査
research study
中心・周辺視野の脳部位の同定と交通安全への適用に関する研究
プロジェクトリーダー:呉 景龍
年度:2006年, プロジェクトナンバー:H851
背景と目的
運転者(歩行者)が周辺視野で現れる歩行者(車両)への認知判断は交通安全の重要な要因となっている。すなわち、広い視野範囲(中心・周辺視野:広視野)での認知特性に関する研究は交通事故の減少に強く要求されている課題である。今まで周辺視野の脳内活動部位が検討されず、本研究では認知心理学実験とfMRIを用いて広視野特性を定量的に計測し脳部位の同定を行う。さらに、周辺視野特性と交通事故について調査研究して、得られた成果の交通安全への適用を検討する。
期待される成果
平成17年度はfMRIを用いて周辺視野の脳内部位を計測するための実験装置を作成し、これまで視野角60°しか測定できなかった周辺視野を視野角120°まで測定可能とした。この結果、従来測定で言われていた周辺視野を処理する脳内部位は、後頭葉の周辺に拡散することが確認できた。この成果をもとに、本年度は以下の研究を進める。
(1) 広視野特性の認知心理学実験の実施と結果解析
従来の手動視野計測装置を自動計測化して動体視野の明るさと色の依存性を定量的に計測し、さらに若年者と高齢者の動体視野特性の差異についても計測・解析する。
(2) fMRI実験を用いて中心と周辺視野の脳内活動部位の同定MRI(高磁場)環境で広視野刺激呈示装置を改良し、中心と周辺視野の脳内活動部位を複数の被験者を用いて計測・同定する。
(3) 広視野特性と交通安全についての調査検討
ドライバーの周辺視野特性と交通事故について調査研究し、得られた基礎研究成果の交通安全への適用を検討する。