研究調査

research study

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情報の与え方と安全性に関する研究

プロジェクトリーダー:三浦 利章
年度:1994年, プロジェクトナンバー:H618

背景と目的

当研究の背景には二側面がある。その一つは応用的・具体的な自動車の情報化に関するものであり、今一つは視党的注意理論に関するものである。
1。 自動車の情報化
近年自動車の情報化に関連して、これまでに運転者に与えられるさまざまな情報を理、検討した(H406プロジェクト:三浦、赤松、石田、菅野、矢野、 1993)。そのうえで、一般運転者及び交通安全に関わる研究者に対して支援情報についての質問紙調査を行い、安全性、快適性、利便性の三側面から検討した(図1-1参照)。その結果、視覚的に与えられる支援情報の安全性をいかに評価すべきかという点が、実験的にさらに検討すべき問題として抽出された。この問題には運転者の視覚的な注意がどのような特性をもつのかが明らかにされてはじめて答えられる。それでは、運転者の視覚的注意特性についてどのような点が明らかにされているのだろうか。
2。 運転者の有効視野
自動車の運転時に必要とされる情報の約90%は、視覚情報であるといわれている(Hartman、 1970)。視覚情報の獲得に重要となる視野は左右で約200゜に開けている。その中で、ある注視点の周りで認知に寄与する範囲を有効視野という。ある対象・箇所を見ながら同時に明瞭に認知できる範囲、例えば先行車を見ると同時に認知可能な範囲である。これは心的状態によって4゜から20゜位に変化し、運転時の安全性に重要な意味を持つ。図1-2のように、有効視野が広いと必要情報を効率よく素早く認知できるが、有効視野が狭いと認知が遅れたり見落としが生じる。混雑場面やより深く注意を払わなければならない状況では有効視野が狭くなることが明らかにされている(e。g。、 Miura、1986; Miura、 1992; 三浦、 1993)。これは安全確保上に重要な意味を持つ。
ところで、上に明らかにされているのは視覚的注意の上下左右方向での働き方であり、奥行き・遠近方向での注意の働き方は明らかにされていない。この点が、合わせて明らかにされると、はじめて運転者に支援情報をいかに与えるべきかという問題に資することができる。ところが、このような重要性にも関わらず、奥行き方向での注意の働き方や有効認知範囲を検討した研究は皆無に近い。実験室内での観察者静止状態でのDowning& Pinkers(1985)、Gawryszewski、et al。 (1987)、Andersen(1990)の研究があるに留まる。
3。 注意の遠近移動特性
以上2つの背景に基づいて、まず遠近距離の異なる重要対象の発見・認知の基礎課程を明らかにした(H512プロジェクト:三浦、矢野、高橋、菅野、1994)。例えば、先行車に注意していてその手前や向こうに出現する必要情報にドライバーはいかに気づきえるのかという問題に関わり、ひいては、遠近での注意、予期はいかに行なうべきか、標識、予告案内標識、室内デイスプレイはいかに設置すべきかという問題である。この問題をトンネルシミュレーターを利用して実験的に検討した得られた結果は以下の通りである。
l。注意距離より近い対象には遠い対象より注意は速く働く。
2。 予備情報・予期は、奥行き・遠近注意事態で横方向注意事態よりも顕著な効果をす。これは低速走行よりも高速走行で、さらに顕著となる。
3。 移動事態での注意の切り換えは、「遠→近」の方が「近→遠」の切り換えよりも効率よく行なわれる。このことを注意の遠近移動のラバー・バンド特性‘‘RUBBERBAND METAPHOR of ATTENTION" と呼んだ。この特性は、静止状態よりも走行状態で顕著となる。これらの諸特性は、遠近注意移動機構の生態学的妥当性、空間表象の観察者中心性を示す新しい知見である。以上に示された知見から次の事項を示唆することができる。イ。 より遠くに注意を向けることが得策である。:近くにぱ注意を戻しやすいからである(上記1。? 3。)。ロ。逆に、近くに注意を向けることによる損失は相対的に大きい。:遠くへ注意をつき延ばすことにぱ注意の機構上の抵抗があるからである(上記3。)。この事実は、内への脇見やナビゲーション等の車内デイスプレイの使用に関わる問題である。
上記の背景に基づいて、より具体的、直接的にナビゲーション使用時の前方への注意の働き方を検討することが目的である。

成果物

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