research study
ロードプライシングに関する調査研究
背景と目的
環境意識の高まり、ITS技術の進展から混雑地城や地区、路線を通る自動車に料金を課すことで混雑緩和や交通に関わる施設整備費の収入を得ようとするロードプライシングが再び注目を浴ぴている。
ロードプライシングについて、我が国では、交通需要管理の一取組み策として神奈川県の鎌倉市で導入構想があるとともに、東京都では2003年度を目途とした部分導入への諸検討が進んでいる。さらに阪神高速道路公団、首都高速道路公団の2団体では、大型貨物車の迂回誘導策の一つとして並行する高速道路通行料を割引く「環境ロードプライシング」の導入に向け、2001年度内で社会実験を予定している。これら以外の国内諸都市でも、交通管理策としてのロードプライシングヘの関心は高まっている。しかしながら、国内では実際の導入が行われていないため本格的な導入に関する知見が充分でなく、展開の遅れる要因となっている。
翻って諸外国では、実際の導入や本格導入に向けた詳細な検討が進行中である。すなわち、世界で初めて実施を行ったシンガポール、国内複数都市で導入が行われているノルウェー、国レベルで法制度を新設し導入に向けた取組みが急速に進展中のイギリス等の例があげられる。これら以外の国や都市でも部分的な実施や検討が進行中である。
本研究は、我が国でのロードプライシング導入に向けた諸課題を明らかにし、実施、導入に向けた諸策の知見を得ることを目的として、倶す)国際交通安全学会の自主研究として実施したものである。研究にあたっては、ロードプライシングが既に導入されているか、本格導入が見込まれている諸国、すなわちシンガポール、ノルウェーおよびイギリスの3カ国を対象に、各分野の専門家、行政担当者から構成されたメンバーにより現地運用機関や検討機関でのヒアリングを中心とした現地調査を行い、その結果をとりまとめたものである。