研究調査

research study

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子どもから高齢者までの自転車利用者の心理行動特性を踏まえた安全対策の研究

プロジェクトリーダー:蓮花 一己
年度:2011年, プロジェクトナンバー:h2304

背景と目的

日本の自転車の事故率は欧米よりも高く、事故件数全体に対する比率も平成20年で2割以上となっている。しかし、自転車の利用実態や利用者の心理行動特性の研究はきわめて少ない。本研究では、平成21年度において、1)自転車事故分析、2)自転車利用者の行動観察調査、3)ジャイロセンサによる左右の確認行動分析、4)中学・高校・大学生利用者への意識調査を実施した。とくに、年齢別負傷者数の構成率で7割に近い中学校児童を中心に、交差点での不停止、並進などの違反行為の常習化や確認不足ならびに遊び行動などのリスク要因を把握し、事故を誘発するメカニズムを検証した。一方、確認行動等の多くの行動水準には相当程度の個人差が存在した。これらの結果を踏まえて、平成22年度には、中学生への教育指導プログラムを提案し、下級生にはビデオ映像による講義形式、上級生には生徒会活動を取り入れたグループワークやシミュレーションによる実体験型の訓練を実施するなど、参加者の特性を考慮して、参加意欲が高まり、行動変容に結びつくような教育を実施する。また、併せて高齢者への質問紙調査や行動実態の調査を行い、総合的な安全対策への提案を行う。

期待される成果

三重県鈴鹿市において、教育委員会や学校の協力により、子どもへの様々な教育研究を実施する。協力中学校とはすでに平成21年度に意識調査や観察調査を実施している。協力校では生徒会活動の一環として交通安全の活動を行う予定であり、観察調査等で得られたデータに基づいて自主的安全活動を実施する。
具体的には、1)行動映像を活用した集団型視聴覚教育教材の作成(平成22年4月~7月)、2)自転車シミュレータを活用した行動訓練教材の作成(平成22年4月~9月)、3)ジャイロによる行動評価システムを活用した小集団討議教材の作成(平成22年7月~9月)、4)上記を組み合わせた自転車走行技能診断や技能検定および個別指導プログラムの作成(平成22年10月~平成23年2月)、を予定している。作成した教育教材を用いて、鈴鹿市内の中学校で、順次、教育を試験的に実施し、教育への関心や内容の評価などを調べる。最終的に、効果的な教育プログラムとそのための教材や必要な補助資料について提案し、日本全国で活用できる自転車教育・指導プログラムを策定する。高齢者への調査は、奈良県や愛知県での質問紙調査(平成22年7月~9月)や行動実験(平成22年9月~12月)を予定している

成果物

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