研究調査

research study

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安全でエコなラウンドアバウトの実用展開に関する研究

プロジェクトリーダー:中村 英樹
年度:2010年, プロジェクトナンバー:h2292

背景と目的

信号交差点、無信号交差点を問わず、平面交差部においては出会い頭や右折対直進などの交通事故が後を絶たない。また、従来日本の無信号交差点における安全対策は、主として信号機の設置が主要な施策であったが、たとえ信号機を設置しても信号切り替わり時や信号無視の事故が生じ、根本的な対策とならない場合が多いだけでなく、交通量の少ない平面交差部において信号機を設置することは、大幅な遅れや環境負荷をもたらしている。このような問題点に対して、欧米諸国では近年ラウンドアバウトを積極的に導入し、安全で損失が少なく、かつコストのかからない平面交差部を実現している。日本でも近年、研究提案者らがラウンドアバウトの適用条件や評価に関する研究を行いその効果予測が行われつつあるが、ラウンドアバウトの特徴や性能に関する認知度が低いことや説得力のある日本での実データの蓄積不足から、実務においての実用化へのハードルは依然高い状況にある。
そこで本研究では、日本でのラウンドアバウトの実用展開のための戦略となるロードマップを作成し、行政機関と連携して実用実験を行うことを目指す。そして、これよりラウンドアバウト導入に伴う様々な実データを収集することで、上記のような障害を一つずつ克服し、本格導入のための環境を整えることを目的とする。

期待される成果

本研究は、次に示す各項目について計3ヵ年で実施することを想定している。
1。 ラウンドアバウトの適用条件の整理(初年度)
既往の研究や諸外国のガイドライン・導入実績を広くレビューすることによって、わが国での導入に際して満たすべき道路条件、用地条件など様々な条件の整理を行い、対象とすべき平面交差部の絞込みを行う。また、交通容量・遅れ・安全性等の各種指標の推定モデルを作成し、これを用いて方向別交通量などの各種交通条件に応じた定量評価を行う。
2。 試験場内へのラウンドアバウト設置による利用者挙動データの分析(初年度)
寒地土木研究所の苫小牧試験場構内に、簡便なラウンドアバウトを設置し、流入部などの幾何構造や路面標示、標識に応じた利用者挙動のデータを収集することで、安全性や効率性に関する分析を行う。
3。 改良候補交差点の選定(初年度)
事故多発交差点の中から、上記で求めた交通条件や用地条件を満たし、かつ改良予定のある地点数箇所を抽出し、これらの地点において現場の視察を行うとともに、道路構造および交通実態データの収集を行う。また、行政実務担当者と綿密に意見交換を行い、現場のラウンドアバウト化を促す。
4。 ラウンドアバウトの試設計と交通運用の検討(次年度)
改良候補交差点について、ラウンドアバウトへの改良試設計と交通運用方法の検討を行う。
5。 ラウンドアバウトの実用実験(次年度以降)
 候補交差点において、行政機関と協力してラウンドアバウトへの実改良を施す。これが難しい場合、短期間の社会実験を行いデータを収集する。また、研究機関の試験場内でラウンドアバウトを整備して実験を行うことも代替案の一つである。
6。 ラウンドアバウトの本格導入プログラムの検討(最終年度)
実用実験で得られた各種挙動データを分析し、実務で適用可能なラウンドアバウトの本格導入プログラムとして取りまとめる。

成果物

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