研究調査

research study

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アジア地域における健康起因事故防止に関する国際比較研究

プロジェクトリーダー:谷川 武
年度:2021年, プロジェクトナンバー:2104A

背景と目的

近年、運転者の健康状態が交通事故の主要な危険因子であることが報告 されており、わが国でも健康起因事故防止は交通事故対策の重要な課題 と認識されているが、特にアジア地域において健康起因事故対策は未だ十 分に行われていない。 そこで本プロジェクトでは、運転者の眠気に着目をした。運転者の眠気は交 通事故の主要な危険因子であることが報告されているが、多くの先行研究 において、運転者の眠気は主観的に評価されており、客観的に評価された 眠気と交通事故との関連についてはほとんど明らかにされていない。また、運 転者の眠気は様々な要因が関与し、国ごとに異なる文化的・社会的背景 も影響する可能性があることから、運転者の眠気の要因に関する国際比較 を行うことで、各国の状況に合わせた健康起因事故対策が可能である。 以上より、本プロジェクトでは、2020 年の社会貢献プロジェクトで構築され た国際的ネットワークを基盤として、日本、中国、タイの職業運転者を対象 に、運転者の眠気と交通事故との関連についてオンライン調査により明らか にし、各国における健康起因事故対策法の確立と普及啓発を行うことを目 的とする。 さらに、申請者らはこれまでの研究プロジェクトにおいて、職業運転者を対象 としたスクリーニングを実施し、わが国における睡眠時無呼吸症候群 (SAS)の社会的予防体制の構築を行ってきた。また、視野障害の簡易 検査であるクロックチャートを用いたスクリーニングも行ってきた。本プロジェクト では上記の調査研究とともに、職業運転者を対象とした日本型の SAS 検 診モデルならびにクロックチャートによる視野障害のスクリーニングについて、ア ジア地域における実施可能性についても検討する。

期待される成果

本研究は運転者の眠気の評価について、自記式質問紙による主観的な指 標だけではなく客観的な指標である Psychomotor Vigilance Task のア プリ版を用いる。これにより、運転者の眠気を定量的に評価し、交通事故へ の影響を明らかにするとともに、運転者の眠気による健康起因事故への適 切な対策法の確立と普及が期待される。また、多要因である運転者の眠 気について、国ごとの比較をすることにより、各国の文化的・社会的背景を 考慮した運転者の眠気による交通事故対策を展開することが期待できる。 さらに、日本型の SAS 検診モデルやクロックチャートによる視野障害のスクリ ーニングをアジア地域で展開することにより、健康起因事故防止の国際的 機運を醸成することが期待できる。

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