研究調査

research study

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児童生徒等に対する効果的な交通安全教育を普及させるために何が必要か ?教育普及スキームの構築研究?

プロジェクトリーダー:小川 和久
年度:2020年, プロジェクトナンバー:2006C

背景と目的

本研究の目的は、児童生徒等に対する発達段階に応じた効果的な交通 安全教育を普及させるための要件を明確にして、教育普及のためのスキー ムを構築することである。教育普及スキームを構成する要素として、次の 4 点に焦点をあてて教育実践を行い、戦略的枠組みを提案するものである。 4つの要素とは、①魅力ある教育プログラムの開発(児童生徒等の主体 的な活動に基づき興味関心を導く教育内容・方法であること)、②エビデ ンスの蓄積(児童生徒等の意識・行動が変容する教育であること)、 ③ 教材・評価ツールの開発(子どもたちが理解しやすい教材や意識・行動の 変化を評価するツールを利用可能にすること)、④人(指導者育成) (教育普及に関わる指導者の育成方法や教育支援に関する知見を収 集すること)である。

期待される成果

2019 年度の研究調査を通して示唆されたことは、児童生徒等の主体的 な活動を基盤にした教育活動は、安全教育に対する積極的な学習意欲 を引き出すということである。このことを再確認できたのは、中学校と高等学 校での教育実践であった。具体的には、上級生が下級生を指導するという 教育活動(中学校)、生徒会が中心となって実施した交通安全シンポジ ウム(高等学校)であった。いずれも、自己の安全だけでなく他者や社会 の安全を考える機会が提供されており、そのことが生徒の積極的な参加を 引き出したものと解釈している。このことは、教育普及を図るには、教材や 教育手法の開発というテクニカルなノウハウを提供するだけでなく、社会性の 発達など子どもたちが自らを成長させていく姿をキャリア発達の観点から可 視化する、さらに現場の実状に応じて児童生徒主体の教育活動をプロデュ ースする方法を含めて、教育現場に研究成果を提供する必要性があること を示唆する。学校現場や教育行政にこのような支援を行うことにより、自ら 学び考える教育への転換が求められている現在の学校教育と、本プロジェ クトの研究成果が有機的に融合され、教育普及がより一層促進されること が期待される。

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