研究調査
research study
高齢者と混合交通危険予知に関する調査研究
プロジェクトリーダー:長山 泰久
年度:1993年, プロジェクトナンバー:H507
背景と目的
もちろん、これまでにおいても高齢者のモビリティと、それにともなう問題は取り扱われてこなければならない問題であったが、日本の高齢化社会が現実のものとなった今日、多くの高齢者の生活を確保し、充実したものにするために高齢者の生活空間における移動の問題を総合的に検討し、課題を明確にし、それを解決しておくことは急務なことであるとなければならない。
65歳以上の年齢人口が7%をこえると高齢化社会といわれるが、日本では1990年には12%に達し、30年後の2020年には23。6%を占めるに至ると推定されている。だが、今日結婚率、女性一人当たりの出産率が当初の予想より低くなっている現状を考えると、高齢者の占める比率は一層高くなるものと考えなければならないだろう。
4人に1人が高齢者で占められる日本は、世界でも最も高齢化社会となるが、その過程で高齢化への速度が最も急速である日本ではさまざまな点で問題が起こり、に高齢化社会に対する対策が求められている。高齢者の移動とそれにともなう安全一危険ー交通事故の問題、さらに高齢者の生活を確保し、より豊かな生活を保障する交通システムの問題、安全対策の問題もその一つであり、ここではその問題について考えてみよう。
高齢者の移動のシステム、安全の問題を考えるに当っては、公共交通機関の発達した大都会と、必ずしもそれが十分でない地方における問題とでは、本質的に異なったものであることも考えられる。研究者の多くが大都会における高齢者の問題に目を向けているが、地方の高齢者の問題についても頭のどこかに置いておかなければならないことをまず述べておきたい。