研究調査

research study

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地球環境・高齢化社会にふさわしい「道路交通パフォーマンスマネジメント」手法

プロジェクトリーダー:家田 仁
年度:2003年, プロジェクトナンバー:H506

背景と目的

1) 地球環境保全、少子高齢化、中央地方行政の財政困難、市民との協働のベースとしたアウトカム型行政への要請などを背景として、わが国における道路交通に関しても、「たくさん作る」という時代から、「上手に使う」時代へと、基本コンセプトの転換が求められている。そうした中で、社会資本整備審議会・道路分科会・中間答申(2002年)でも協働型の「道路パフォーマンスマネジメント」の導入が提言され、一部の国道工事事務所では試行が開始されている。
これは、①各幹線道路路線(区間)別もしくは都市エリア別に、②道路交通の管理にあたり各種の関係組織やユーザーの団体を巻き込んだ恒常的な協働型組織を導入、③透明性の高い議論と分析総合作業を前提、④現状の把握と評価→施策の発見と優先順位化→施策の選択的導入→事後評価というサイクルの繰り返し、⑤現道マネジメントを基本に置き必要に応じて道路など施設の新設、といったアプローチに特長を持っている。これは、既に幹線道路について英国で行われているRMS(Route Management Strategies)と似たような発想に立ったのものである。

2) こうした協働型のアプローチは、わが国でも、新規道路事業に対するPIや計画アセス、各種社会実験、ヒヤリ地図などにおいて、類種の経験を積んできたところであるが、高い系統性と恒常性をもった取り組みとなるとほとんど皆無であり、「道路交通パフォーマンスマネジメント」手法の確立と本格的な実務化には、なお多くの学際性の高い調査研究と試行錯誤が必要である。また、学際性はもとより、交通管理サイド(交通警察)や運輸行政との連携性も十分とはいえない。

3) そこで、本提案は、道路管理や道路交通管理といった行政と連携しつつ、道路ユーザーや沿道住民との協働のあり方などを含めて、多彩な立場の連携を前提とした合理的な「道路交通パフォーマンスマネジメント」手法の確立を目指して、国際交通安全学会という学際性の高い組織の利点を生かした総合的な調査研究を行うものである。最終的には、成果をとりまとめ学会として提言を行う。成果のまとまりによっては出版を目指す。

期待される成果

1)わが国の従来の協働型道路関係活動のレビューと課題整理: 各種社会実験やPIの実例を調査することにより、協働活動の実情と問題点を整理する。
2)英国のRMS導入の実情調査: 資料調査とともに、英国道路庁への訪問調査、及び現地調査を実施する。可能であれば、RMS協議会の傍聴などを含む。3人程度のチームにより2週間程度の出張を予定する。
3)「道路交通パフォーマンスマネジメント」のあるべき姿と要件の検討: 上記の調査を参考にして、今後の「道路交通パフォーマンスマネジメント」の基本フレームと要件をデザインする。
4)道路交通パフォーマンスの巨視的及び微視的な評価手法の検討: 安全・安心性、(時間消費などの)円滑性、快適性、地域環境・地球環境負荷などの点から、道路交通パフォーマンスを評価する手法をとりまとめる。なお、評価の用途に応じて、巨視的な方法論と微視的な方法論を区別して扱う。また、道路のパフォーマンスに大きな影響をもたらす交通信号制御のありかたについては特段に配慮する。
5)モデル路線・モデル地区における「道路交通パフォーマンスマネジメント」の試行: 行政当局の試行や社会実験とのパートナーシップによりモデル路線やモデル地区を設定し一定期間試行する。さらに現地でのワークショップなどを行うとともに、ユーザーや住民の反応をアンケートなどにより調査する。
6)調査研究の取りまとめと報告書作成

成果物

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