research study
気候変動に伴う交通事故リスクの長期変動に関する国際比較研究
背景と目的
気候は人々の生活行動だけでなく、認知・判断にも大きな影響を及ぼすことが知られている。また、気候に対する人々の反応は、国や地域ごとに異なることが予想される。そのため、世界的な交通事故リスクの長期変動を予測するためには、気候変動シナリオ・国際性を共に考慮する必要がある。
本研究では、まず、交通事故や運転・歩行行動に関する長期観測データを収集し、気象条件との関係性を明らかとする。続いて、アジア・中東・欧州・北米を主な対象としたアンケート調査を行い、風土・気象・交通行動の関係性を把握する。双方の結果より、長期的な気候変動シナリオにおける、世界的な事故リスクの変動について考察を行うとともに、今後の都市・交通政策のあり方を提言する。
期待される成果
本研究では、各種統計データを用いることで気象条件と交通事故率の関係に関する国際比較を行うと共に、気象条件が、人々の活動・目的地・交通手段選択、および移動中の運転・歩行行動等に及ぼす影響を明らかとすることを目的とする。これまでに多くの関連する既往研究はあるが、経済状況や風土的背景の異なる国を同基準で比較した研究は見られない。また、気象条件がミクロな運転・歩行行動に及ぼす影響についての知見は限定的である。本研究により、以下の成果が期待される。
・気象条件による運転・歩行行動等特性の差異や事故リスクを定量評価することにより、気象と事故発生の因果構造を解明し、事故対策への提言ができる(1~2年目)
・気象条件の変化による交通手段別の需要の変動傾向を把握することで気候変動シナリオのもとでの国別の事故リスクの将来動向を推計できる(2~3年目)
・SDGs3.6 のような世界を俯瞰した長期的な交通事故削減に向けた都市・交通政策のあり方への提言ができる(3年目)