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第47回 令和7年度(2025年)

業績1

業績題目

のとの里山の道の守人 ~道路緊急復旧・復興現場の声に学ぶ~

受賞者

一般社団法人 石川県建設業協会
石川県奥能登土木総合事務所
国土交通省北陸地方整備局能登復興事務所

受賞理由

令和6年1月能登半島地震(同年9月奥能登地方を中心とする豪雨)が発災した直後において、緊急復旧(道路啓開※や道路の応急復旧)作業に携わった建設業関係者から当時の様子を伺い、緊急車両の通行や地元住民の生活基盤を支える交通インフラを修復させていった過程についてヒヤリング調査を行いました。発災直後、至る箇所で道路が寸断されるなど、いかに困難な状況におかれたのか、自らも被災者でありながら、地域住民の生活を支えるために緊急復旧に奔走した姿を、調査を通して知ることになりました。

被災現場で緊急復旧作業、復興工事に直接携わった人、後方から資材や機材の提供等の支援にあたった人、計画を立て関係者間の調整に尽力した人など、それぞれ置かれた立場は異なるものの、限られた条件下で、各々の立場でできることを模索し、様々な思いを抱えながら、緊急復旧作業にあたった方々、今もなお復旧・復興工事にあたる現場従事者の声から学ぶべきことは多くあります。以下、関係者の主な声をまとめました。

[地元建設業関係者:珠洲建設業協会、鳳輪建設業協会]
未曽有の規模の地震を経験し、自分たちも被災することとなった。人命救助のための緊急車両が通行できない、物資の運搬ができない、孤立集落があるなど、地元の道路は寸断され、生活のための往来が困難となった。
BCP(事業継続計画)は設定していたが、震度7クラス規模の地震は想定外であり、初動での道路啓開にあたり数多くの困難に直面した。たとえば、通信インフラが遮断し、被災状況の把握のための情報収集や関係者間の相互連絡に苦労した、重機を動かす燃料が不足していた、採石など応急復旧に必要な資材が不足していた、作業者の生活基盤の確保(宿泊施設、食事等)に苦労したなどである。このような状況下でありながらも、連絡をとり合って仲間を集い、自分たちにできることは何かを考え、限られた燃料や資材を分配しながら、道路の応急復旧を行い車両通行の確保に尽力した。

[一般社団法人 石川県建設業協会]
後方支援する立場から、発災翌日には緊急の安全対策会議を開催し、情報収集のために第一陣となる作業班を現場に派遣した。第一陣からの状況報告を受け、出動が可能な業者を選定し支援体制を確立した。必要な機材・資材を集め、緊急復旧場所を確定し、第二陣の作業班を派遣し被災地へのルートを確保するために動いた。
このように迅速な後方支援を進めたが、様々な課題も見つかった。道路啓開には重機が必要である。被災地へ重機を迅速に運搬するためには、重機が置かれている場所等を、GPS 機能を活用して日頃から情報共有しておく必要がある。資材等の備蓄リストの作り方も改善が求められる。日々、資材は使用しており、最新の情報をアップデートする必要がある。資材、燃料の確保、作業者のための水、食料、宿泊場所の提供など、災害支援は自己完結が基本である。

[石川県奥能登土木総合事務所]
今回の地震では、道路の崩落や陥没による道路寸断により、ピーク時には奥能登2市2町の24 地区で孤立集落が発生した。初動活動においては、十分な道路幅が確保できない中で救援活動のための道路啓開を石川県建設業協会との「災害時における基本協定」に基づき、速やかに実施した。
その後も奥能登豪雨により広範囲にわたる甚大な被害の拡大もありながら、応急復旧を進め、段階的に通行止めの解除を進めている。本格復旧工事については、奥能登2市2町へのアクセスルートや主要な緊急輸送道路を中心に工事着手しており、一般車両や工事車両が錯綜する中で交通影響や二次災害が発生しないよう地元の理解を得ながら、復旧工事が進められている。
また、能登半島外浦沿岸部では地盤隆起による被害が多く発生しており、港や河川施設の復旧においても、かつて経験したことのない問題に直面しながらも着実に復旧作業が進められている。

[国土交通省北陸地方整備局能登復興事務所]
被害の大きかった奥能登4市町(輪島市、珠洲市、穴水町、能登町)等において復旧・復興事業を迅速にすすめるため、令和6年2月16 日に新設された事務所である。
地震による災害復旧箇所は至る所にあり、連続する難工事、更には同年9月の奥能登豪雨災害にも見舞われたが、隆起した海岸に迂回路を設置、山自体が動いて被災した大谷トンネルの復旧など、復旧復興へ続く道しるべとして、着実に工事を進めている。
また、復旧・復興するだけではなく、有識者を交えて災害前よりも魅力ある地域とするため、「能登半島絶景海道の創造的復興に向けた検討会」を開催している。

以上、地震、豪雨と連続する未曾有の災害において、迅速かつ的確に緊急復旧・復興工事に対応した関係者の知見や経験は、今後、想定される大規模災害の発災時及び復興に大いに役立つものと考えます。こうした一連の功績を鑑み、本活動は国際交通安全学会業績部門に相応しいものと判断いたしました。

※道路啓開:緊急車両等の通行のため、早急に最低限の瓦礫処理を行い、簡易な段差修正等により救援ルートを開けること

業績2

業績題目

人とまちが一つになるにぎわいの空間 ~なんば駅前広場と安全安心なまちづくりの物語~

受賞者

なんば安全安心にぎわいのまちづくり協議会、大阪市

受賞理由

なんば駅前広場は、なんば駅周辺道路空間再編事業の一環として、人とまちを安全につなぐ歩行空間として生まれることになりました。元々、なんば駅前周辺は、タクシーや車のための道路空間によって、地元商店街やまちの拠点エリアとの接続が分断されていました。また、違法駐輪の自転車によって一部の空間が占拠されるなど、歩行者が多いわりには安全安心な歩行空間が不足していました。こうした事情から、道路空間の役割に関する関係者の問題意識が高まり、地元の町会・商店街の発意により道路空間再編事業に向けての組織「なんば安全安心にぎわいのまちづくり協議会」が発足しました。

広場を設置するにあたり、まちをより魅力ある姿にするため、大切にしたコンセプトがあります。
第一に、点と点をつなぎ、回遊性を高めることです。エリア内に滞在する時間を増やし、にぎわいのあるまちづくりにすることを重視しました。成果を検証するために、人流データを用いて分析したところ、若年層の女性の滞留時間が増加するなど、広場設置の成果を示すエビデンスが得られています。自由に使える椅子やテーブルを広場に設置するなど、広い空間の利点を最大限に活かすように、広場の使い方についても工夫しています。

第二に、広場を安全安心な空間にすることです。回遊性を高め滞留時間を増加させるためには、安心して歩行できる空間である必要があります。そのため、防犯カメラの設置、警備員の配置など、細心の注意を払いながら広場を運営し管理しています。

第三に、地元の町会・商店街の発意に基づいた企画運営を行うことです。様々な関係者間の調整は、地元に協力を求める形で進められています。こうした取り組みの成果もあって、地元関係者にとって、なんば駅前広場が、自分たちの広場だという意識が高まり、愛着が生まれるようになりました。

 

近年、インバウンドの効果もあり、海外からの旅行者も増加し、まちが大いににぎわう傾向にありますが、一方で大きな課題もあります。事業運営の問題です。警備員などの人件費、防犯カメラの管理費用など、広場の管理運営費用は、昨年度までは、広場のイベント貸しの収入だけでなく、国の補助金や自己資金や工事費の充当などにて運営しておりましたが、現在は、運営費を独自に確保して、独立採算による運営に向けた取り組みが進められています。たとえば、広場にデジタルサイネージを設置し広告収入を得る、週末等にイベントを開催する(イベントの場所貸し)など、採算性確保の取り組みが行われています。将来的には、この広場の収益により、エリアマネジメント団体が自主的に運営管理することを目指しています。

なんば駅前広場を設置するにあたり、車の流れを迂回させることになりましたが、そのことによる大きな渋滞を発生させずに、駅前にウォーカブルな空間を実現している点は、優れた取り組みだと言えます。地元の町会・商店街の発意に基づく取り組みである点も、モデルとなる先進的な事例になり得るものと判断し、高く評価いたしました。

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