褒賞

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第41回 令和元年度(2019年)

業績1

業績題目

バス事業の可視化がもたらす地域社会への貢献-利便性向上と観光需要創出へのあくなき挑戦-

受賞者

イーグルバス 株式会社

レトロな雰囲気のバス

受賞理由

イーグルバス株式会社は、独自のバス事業改善システムを導入し、可視化による持続可能なバス事業を実践しています。バス事業が赤字に陥らないための取り組みが緻密なデータ分析に基づくものであり、各バス停の乗降者数、混雑度、運行遅延などの各種データを、GPSや乗降センサー等のICTを駆使して集約することで、乗降客の少ない時間帯やバス停を特定するなど、従来、勘と経験で支えられてきたバス事業を見える化した取り組みは非常に先駆的なものであります。さらに、利用者のニーズ調査の結果と組み合わせることで、路線と運行ダイヤをより最適なものにするなど、徹底したマーケティング・リサーチの手法をバス事業に導入しています。このような意欲的な取り組みにより、運行コストを削減するだけでなく、利便性が高まり、バス利用者が増加するという成果をもたらしています。国内のバス事業者の多くが直面している、赤字経営と不採算路線維持という難題を乗り越えていく上で、イーグルバス社による事業モデルから学ぶべき点は多いといえます。

バスの待合所

また、過疎地域での集約拠点形成と地域観光の需要創出を実現しました。これを可能にしたのが、ハブ&スポークと称する路線バス乗り継ぎシステムの導入です。このハブ&スポークは、複数路線の停留所を集約したバスセンター的役割を担うだけでなく、調剤薬局、クリニック、郵便局など、生活サービスの施設を併設することで、小さな町の拠点としての機能を有しています。地域の特性に応じて、観光センター、土産物などを扱うショッピング施設、体験観光施設を併設することで、観光客の誘致にも成功しています。このハブ&スポークの導入は、地域住民のモビリティと生活サービスの質を向上させるだけでなく、地域観光の新たな需要を創出することにも寄与しており、イーグルバス社による地域社会への貢献度は大きいといえます。代表取締役社長の谷島賢氏自身、地域公共交通マイスターの資格を有しており、川越市内を循環する観光バスを運行させるなど、地域社会への貢献をバス事業の中心に位置づけています。
現在、前述したバス事業改善システムのノウハウを、ラオスのビエンチャン・バス公社に提供し、現地のバス運行の最適化を図る事業に関わっていて、イーグルバス社の事業モデルは、ラオスにおいても地域の公共交通の発展と観光ビジネスの展開に貢献することが大いに期待されており、国内外に通用する事業を実践しているという点は高く評価されるものであります。

業績2

業績題目

県内すべての小学6年生を交通安全リーダーとする交通安全教育活動

受賞者

静岡県

グループワークをする小学生1

受賞理由

静岡県では、児童の交通事故防止対策の一環として、「交通安全リーダー制」というユニークな交通安全教育活動を、県内すべての小学校で行っています。交通安全リーダー制は、「より良い交通安全環境づくりとともに、小学校高学年生を交通安全リーダーに指名してリーダーワッペンを着用させ、リーダー自身が交通ルールの規範を示すとともに、下級生の交通マナーなどを指導させることを通じて、悲惨な子どもの交通事故を根絶しようとするもの」として始められました。昭和51年には、県内すべての小学6年生をリーダーに指名すること等の運用が定められました。
また、この制度の行事として「交通安全リーダーと(父母と交通安全を)語る会」が開催されています。交通安全リーダーが手作りした地区別危険箇所マップを発表するとともに、地域の交通安全関係者(保護者代表、交通安全担当課、教育委員会、警察署交通課、町内会、交通安全協会など)と事故防止のための意見交換を行うことで、交通安全活動の推進に役立てようとするものです。こちらは昭和62年度からすべての公立小学校で毎年開催されています。平成30年度の実施結果では約3万人の交通安全リーダーが参加し、他の児童、保護者、地域関係者、職員をあわせると5万8千人が参加しました。

グループワークをする小学生2

この取り組みは、他の都道府県にはみられない非常に実践的で大規模なものであると考えられます。世界を見渡すと、英国において、ジュニア・ロード・セイフティ・オフィサーという、代表児童がオフィサーになるという類似の取り組みが見られます。これに対して、静岡県のこの取り組みは、小学6年生全員がリーダーとなる取り組みであることが特徴です。すべての6年生がリーダーとしての自覚を求められ、危険箇所マップの作成や地域関係者との意見交換に関わることによって、安全な地域づくりを警察や行政や他人に任せっぱなしとせず、地域社会への主体的な関わり方と関心を身につけることが期待されます。また、そうした教育を小学6年生から55歳までの県出身者がすでに受けていることで、地域自治を通じた交通安全の向上といった社会関係資本の充実に貢献してきたと考えられます。しかし、こうした取り組みは、静岡県内では長く当然のように行われてきたため、その重要性が認識されてきませんでした。
通学路の安全が注目されている昨今、小学6年生を軸に地域の交通安全関係者のコミュニケーションを促進し、地域の交通安全環境を向上させてきた取り組みであり、他の都道府県にも広く普及することが期待されます。

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