IATSSについて

about

沿革

当学会では、1974年の設立以来、交通専門の国際的かつ学際的な研究機関として、様々な活動を積極的に展開してまいりました。ここではその歩みを簡単に振り返ります。

【設立期】1974

当学会が設立された1970年代の日本は、急速に広がるモータリゼーションの中、交通に関わる安全問題、自動車等の排気ガス問題、オイルショックに端を発したエネルギー問題などの解決が急がれた時代でした。こうした背景のもと、当学会は日本初の交通分野の学際研究機関として設立され、様々な研究調査活動をスタートさせました。この時代に現在の活動の基礎を築きながら、各分野の研究者が共通テーマのもと、繰り返し議論を行って相互理解をはかり、交通社会の将来像を模索。その成果を広く社会に発信し提供することで、諸問題の解決に大きく貢献しました。

【拡大期】1985

この時代には、国内にあっては、交通問題の研究調査活動をさらに充実させるとともに、海外に向けては、交通の未来を人類共通のテーマと捉え、国際的な議論の場を積極的に提供。また新たにモータリゼーションを迎える国々に貢献すべく、アジア諸国との交流の充実もはかりました。具体的には、日米欧の研究者が一堂に会し、学際的な討議を行うISIRT※の開催、日本の経験をもとに、中国の研究者たちと継続的に議論を行う日中交流事業の展開、さらに1984年には、IATSSフォーラムの第1回研修が始まり、東南アジア諸国との国際交流活動も始まりました。
※International Scientific Initiatives on Road Traffic

【転換期】1995

この時代には、社会ではバブル崩壊の影響が各分野におよび、一方で交通社会の成熟に伴い、交通分野では環境、バリアフリー、市民参加型のまちづくり、情報化への対応など、新たなテーマが顕在化し、対応が求められるようになりました。当学会では、この時期に公益法人法の改定に伴い、学会運営の見直しをはかるとともに、新しい時代の社会ニーズに対応すべく、研究調査ではテーマ提案制度、中長期テーマの導入などを進め、また国際交流においては、アジアを中心に実務的な交流をより強化するなど、学会本来の意義をもう一度見直し、諸活動の調整と転換をはかりました。

【発展期】2005

2000年代に入ると、日本社会の成熟がさらに進み、社会ニーズもより高いレベルへと移行しました。交通分野においても、従来の機能偏重の考え方から、モビリティに"文化"の視点が求められるようになり、交通社会への快適性、やすらぎ、美意識などの導入が重要テーマとなってきました。こうしたステップアップの時代に、当学会は2011年4月より公益財団法人に移行。これを契機にますます諸活動の充実をはかるとともに、特に研究調査においては、未来思考のビジョンや政策提案を今後いっそう強化し、幅広く社会に貢献していきたいと考えています。