about
沿革
Honda創業者の本田宗一郎と藤澤武夫は創業間もないころから、社会の中でバイクやクルマといった交通手段はどうあるべきかを問い続けてきました。とりわけ安全面については、ハード(製品)とソフト(教育)の両面から積極的なアプローチが必要と認識。さらに、一企業内ではなく社会全体で、深く、広く、交通問題に取り組み解決することを目指し、社長と副社長を退任後の1974年に当学会を設立しました。
当学会は日本初の交通分野の学際研究機関として、交通や安全工学をはじめ、心理学や教育学、通信工学、経済学、文化人類学などの研究者、さらにはジャーナリスト、漫画家など多岐にわたる会員により活動を開始。自由闊達な議論のもと、社会における自動車の在り方、交通社会の現状と将来の在り方をテーマに調査研究を始めました。
【1974~1978 基本となる事業展開の模索】
1974年9月、当初23人の会員で発足した本学会は、研究調査、シンポジウム、広報・出版、褒賞・助成等の部門で事業活動を開始しました。
国際交通安全学会は、1974年9月に、交通とそれに起因する問題に対応し、理想的な交通社会の実現に寄与することを目的として、本田技研工業(株)の創業者である本田宗一郎・藤澤武夫両氏の基金をもとに創立されました。
創立に際し学際的な特徴を反映して、大学や研究所に所属する25名の学会員が招聘されました。創立の背景には、わが国の経済成長期とそれに伴う交通事故、環境・エネルギー問題などの深刻な社会的課題認識がありました。
1974年 国際交通安全学会創立
1975年 「数寄屋橋交差点の研究」
1975年 第1回国内シンポジウム「日本人と交通」開催
1975年 学会誌『IATSS Review』発刊
1976年 初の国際シンポジウム「DISCOVERIES人間の知恵と交通」開催
1977年 英文論文集『IATSS RESEARCH』発刊
1977年 初の国際シンポジウムをまとめた単行本『ディスカバリーズ学事始』発刊
1977年 『技術人精神』(本田宗一郎他著)にてシンポジウムの意義を詳述
【1979~1984 各部会機能の拡充】
この時期に事業活動の二つの基軸が確立されました。
① シンポジウム活動による国際的討議の場の設定
② 学際的な調査研究に基づく社会への具体的提言
1978年 第2回国際シンポジウム「人とモビリティ」理想的なモビリティ社会の在り方
について討議するというテーマで開催
1980年 創立5周年を機に第1回学会賞贈呈式が開かれる
1980年 第3回国際シンポジウム「高速社会と人間」開催
1982年 第4回国際シンポジウム「人と空間」開催
1984年 第5回国際シンポジウム「都市と交通」開催
【1985~1994 国内外への提言発言の拡充】
積極的な発信を行いつつ、国際的活動としては、国や地域の違いばかりではなく、研究者・行政担当者の立場を超えて討議する場を提供しました。
海外との交流活動の領域として、国際ラウンドテーブルISIRT(International Scientific Initiatives on Road Traffic)を開催。日米欧の交通にかかわる研究者並びに行政担当者が、道路交通のテーマと将来の共通テーマを討議する場として、3回のシンポジウムを開催しました。
1989年 第1回テーマ「安全」 開催地:オランダ
1991年 第2回テーマ「道路交通と環境」 開催地:スウェーデン
1991年 第3回テーマ「モビリティの将来」 開催地:フランス
【1995~2004 研究テーマ選択方針の見直しと展開】
バブル経済の崩壊を機に景気低迷が続き、学会活動の見直しが迫られるようになりました。交通分野においても、従来の機能偏重の考え方から、モビリティに「文化」が求められるようになり、本学会の調査研究活動においても、交通社会への快適性、やすらぎ、美意識などの導入などが重要テーマとなってきました。
1995年の阪神淡路大震災の発生後に現地調査を行い、被害最小限化の方策、震災直後の問題と解決の方向を提示。国際交流の活動として、1995年にISSOT (International Student Seminar on Transport Research)が開始。
→交通にかかわる分野の留学生と日本の学生によるシンポジウム活動が、2007年まで日本国内と海外で隔年開催されました。
2003年 海外参加国から研究者を招聘して内閣府と共催の国際シンポジウム
「世界一安全な道路交通の実現を目指すキックオフミーティング」を開催
【2005~2014 国際・学際アプローチの新たな取り組み】
国内の学際的活動を活性化するための「特別プロジェクト」が企画・展開されました。開かれた国際シンポジウムの中で小口泰平会長(当時)より「IATSSビジョン」が発信され学会の新たな方向性が宣言されました。
「『科学技術』と『人間』が作り出す「新しい交通社会」をめざし」、「ハードウェア、ソフトウェア、マインドウェアを拓く学際的・国際的活動を、より一層強力に推進することを世界に宣言」
2005年 書籍『「交通」は地方再生をもたらすか~分権時代の交通社会~』を発刊
2006年 書籍『「交通」が結ぶ文明と文化 ~歴史に学び、未来を語る~』を発刊
2007年 書籍『デザインが「交通社会」を変える~美しい国土、魅力ある交通~』
を発刊
2008年 書籍『挑戦 日本再生~「公」と「私」の境界を超えて』を発刊
2009年 書籍『新・黒船の世紀 ~グローバル化時代の経済戦略~』を発刊
2009年 書籍『都市のクオリティ・ストック -土地利用・緑地・交通の統合戦略-』
を発刊
2007年 学際的で国際的「自由な討議の場」としてアジア交通研究学会ATRANS
(Asian Transportation Research Society)をタイ・バンコクに設置
2010年 英文論文集『IATSS RESEARCH』の完全電子出版開始
2012年 書籍『駐車場からのまちづくり~都市再生のために~』を発刊
2012年 国際ワークショップ「次の時代の交通と安全~東日本大震災の教訓を
踏まえて」開催
2014年 創立40周年記念シンポジウム「IATSSモビリティ社会デザイン
2024-10年後の理想的な交通社会をデザインしよう-」開催
【2015~2024 交通文化の醸成と国際化の加速】
世界では毎年120万人余りが交通事故で命を落としています。また、地球規模の都市化に伴い、エネルギー問題、地球環境の持続可能性の問題、貧富の差による社会参加の問題など、取り組むべき課題はますます増えています。これらの課題に対しては「人類の英知と勇気」をもって対処していく必要があります。
わが国の将来の交通社会を担う小学生・中学生・高校生等を対象とした新たな助成事業の実施も計画しており、IATSSビジョンの具体化に向けた本学会の活動は、創立50周年を越えて、今後、ますます充実していきます。
創立50周年に向けた戦略的取り組みとして
1 )創50戦略会議 2 )GIFTS~国際フォーラム 3 )創50戦略プロジェクト を行いIATSSビジョンを具体化させました。そして具体化されたIATSSビジョンを踏まえて、学会活動の進展には以下の2つの基盤を定めました。
1 )社会実装の深化と国際化 2 )国際化の進展
2015年~24年 第1回~第10回GIFTS~国際フォーラム
2024年 IATSS創立50周年
創50戦略会議の下、本学会の今後の新たなビジョン・目標と
その具体化に向けた戦略の検討